研究課題/領域番号 |
23720307
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研究機関 | 米子工業高等専門学校 |
研究代表者 |
中川 右也 米子工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (10551161)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 国際情報交流l |
研究概要 |
今年度は広く専門家や教育関係者等の意見を取り入れるべく、以下の論文発表や学会発表等を行なった。論文は、「イメージを使った語彙指導の効果―句動詞について」2011年8月『英語授業研究学会全国大会発表資料集』23(共著)、「句動詞指導への示唆―認知言語学と英語教育の接点を求めて―」2012年1月『米子工業高等専門学校研究報告』No.47、がある。学会発表や講演会は、「イメージを使った語彙指導の効果―句動詞について」2011年8月英語授業研究学会第23回全国大会(共同)、「句動詞習得におけるイメージ・スキーマの有効性―認知言語学的観点から―」2011年8月第37回 全国英語教育学会、「ライオンからあげってな~に?―言葉の不思議さを教えてくれる認知言語学のお話―」2011年5月米子高専文化セミナー、がある。以上の成果発表を通して、イメージを使った句動詞指導法が、学習者への定着率の高さから効果的であることを説明した。英語が話せないという学習者は、その原因を語彙力不足に帰するが、それが全てではない。例えば、「立候補する」は、日本語では堅苦しい漢語表現だが、英語ではrun forと平易な句動詞で表現できる。本研究の意義はここにある。句動詞を形成する動詞や不変化詞は、中学校で学習する基本語が多い。つまり、句動詞を習得すれば、既習語彙を最大限に活用して、言いたいことを表現できるのである。しかし、句動詞は、なぜそのような意味になるのかが納得できず、定着しにくい負の側面もある。こうした負の側面を解消するという点が本研究の重要性である。イメージを使った教え方は、抽象的なメタファによる意味の拡張事例を、具体的な形としてイラストで提示するため、効果を発揮する。学習者の負担を出来るだけ軽減すべく、親しみのあるイラストを使って、明示的な説明を与えることができるよう研究を進めてきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は次の2点を研究の中心とした。コーパス及び検定教科書の電子テキストから、(1)学習者にとって必要不可欠な句動詞を選出し、(2)選出された句動詞について国内外の文献調査を行い、中学生以上を対象に、わかりやすく解説を執筆した。特に、実践的なコミュニケーション能力に本研究の成果が貢献できるよう、選出した句動詞は特に会話での使用頻度が高いものとなるように配慮した。本研究は認知言語学とフレイジオロジーを融合し、その知見を英語教育に応用した新しいアプローチによる教材開発である。従って、まず周辺研究に関する文献調査を行い、情報を整理・批判・検討し、発展さた。関連学会活動等を通して専門家との研究交流を積極的に行い、学会活動を通し、専門家の知見を取り入れることができた。また、イラストを使った語彙指導ということで、周辺分野の認知心理学等の知覚に関する文献を基に、認知能力の解明がどのような形で教育現場で活かすことができるのかを模索するため、実際に授業等で検証を行い、学習者の視点から見た語彙習得に関する新たな情報を得ることができた。また、客観的分析も必要であることから、研究成果を私立高校や公立高校の教育現場で実践していただき、協力を得ることができたことは、今後の本研究の発展に大きな力となった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として次の2点を研究の中心とする。まず、(1)平成23年度の作業に引き続き、選出された句動詞について文献に基づき解説を執筆する。解説内容が理解しやすいかどうかを確認するために、学生を対象に、ヒアリング調査を行う。最後に専門家の意見を取り入れ、修正を加えた上で記述を完成させる。次に、(2)本年度の終盤から動画化に向けたシステム構築を行う。まずは、句動詞の意味の概念化を静止画で描き、その後、アニメーションを加えた動画作成を行う予定である。動画化への移行作業としてCD作成によるシステム構築を行う。作業途中では、動画化された教材が句動詞の意味理解に手助けとなるかを確認するために、学生を対象に、ヒアリング調査を行う。その後、必要な場合は修正を加えた上で、教材としてシステム構築を完成させる。研究成果は、学会等で発表し、学術論文等にまとめ発信する。また、教員のための情報共有サイトに提供し、教材としても教育現場への還元も視野に入れる。教員や社会人対象のセミナー等も積極的に開催し、制作した教材は配布する予定である。将来的に電子教科書等の電子書籍にも導入できるような独創的なものを検討している。
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次年度の研究費の使用計画 |
認知言語学とフレイジオロジー、そしてその関連分野の文献を調査する必要があるため、関連分野の文献費を予算に計上する。また、学会等を通して研究者との議論や情報収集を国内外問わず積極的に行うための旅費を計上する。更に、教材作成に関して、イラストレーターへのイラスト作成の謝金が必要となる。それに伴い、動画化へのアニメーション制作費用も研究予算に計上する。本研究の目的は、句動詞を効果的に習得できる教材のコンテンツを構築することであり、その動画化は、作業が膨大であり、制作するためには専門的知識と時間を要するので委託する。そして、本研究で得られた知見を発表や教材配布をすることによって社会に還元を行うため、旅費及び印刷費・CD-ROM制作費を計上する。
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