研究課題/領域番号 |
23720314
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 大介 東北大学, 学術資源研究公開センター, 協力研究員 (70400439)
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キーワード | 近現代史 / 地域振興史 |
研究概要 |
当該年度においては、昨年度から継続して資料の収集を進めたほか、著書の出版に関する作業などを実施した。 昨年度に、東北大学出版会の「第8回東北大学出版会若手研究者出版助成」事業に採択されたため、論文中で引用や参照した資料の確認作業が求められることとなった。具体的には、原稿中で使用した文献や史料について、宮城県図書館や山形県立図書館のほか、東北大学附属図書館に行って調査を実施した。 また、昭和初期に展開された雪害運動の大きな成果である、農林省の積雪地方農村経済調査所(雪害研究所)に関する資料の収集を実施した。1933年に設置されてから、東北地方や雪国の地域振興について科学的な研究を展開した積雪地方農村経済調査所について、その調査報告書を中心に収集を進め、その実態に関する理解を深めた。 さらに、2011年の東日本大震災を契機として、昨年度から開始した1933年の昭和三陸大津波に関する調査活動も継続的におこなった。宮城県公文書館で関連資料に目を通したほか、宮城県図書館や各大学の図書館から、沿岸地域の自治体史を借用するなどして、基本的な情報を収集した。そのほか、横浜情報文化センター新聞ライブラリーや国会図書館において、沿岸各地の地方新聞をコピーして資料収集を進めるとともに、雇用した若手研究者の手も借りて新聞記事のデータベース作成を実施した。 なお、図書館や史料所蔵機関で撮影した歴史資料の写真データは、パソコンにデータを移動させたうえで、リネーム(ファイル名の変更)やトリミング(画面の切り取り)を実施した。それらのデータを外付けハードディスクなどに移動させて管理するようにしたほか、必要に応じてDVD-Rやブルーレイディスクに焼き付けるなどして、紛失や消失の防止に備えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の達成度については、やや遅れている、と評価できる。 2011年に発生した東日本大震災のために自宅の転居を強いられたほか、勤務先の東北大学史料館においても改修工事のために一時移転することとなり、資料の梱包や引っ越し作業をしなければならなかった。そのため、研究活動において大きな遅れが生じることとなった。 また、周辺の図書館や史料所蔵機関においても休館や移転が相次ぎ、予定していた作業の多くが実施できなくなったりしたため、十分な調査をおこなうことができなかった。ただ、震災から時間が経過するにつれて、徐々に研究環境も整備されてきているので、最終年度までには、研究課題は達成できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、まずは東北大学出版会の出版助成事業による、論文集の発行に向けた作業を実施する。一般的な校正作業のほか、論文中で引用や参照した資料や先行研究を整理して、検証作業の簡便化を図るとともに、今後の研究活動において活用するための基本的なデータベースを作成する。 また、1933年の昭和三陸大津波に関する研究についても、各地の図書館や史料所蔵機関に足を運び、調査を実施する。それぞれの地域における新聞や公文書に目を通すほか、軍隊や大学というような近代的な組織の対応にも着目するなど、歴史的な災害について多角的な視点から検討を加えることとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度においては積極的に研究費を活用できたが、震災のために十分な活動ができなかった初年度の残りもあったので、次年度に研究費が持ち越されることとなった。 次年度においては、本来の使用経費を十分に活用するほか、遅れている作業の進行を取り戻すために、作業時間を効率的に使う必要がある。そのため、移動中のデータ通信などを考慮した、ノートパソコンなどといった物品購入を検討することで、より効率的に研究活動を進める予定である。
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