研究課題/領域番号 |
23720317
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
横山 陽子 千葉大学, 人文社会科学研究科(系), 人文社会科学研究科特別研究員 (90586504)
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キーワード | 日本近世史 / 奥羽 / 被差別民 / イタカ / 西宮社人 / 地方知識人 / 被差別民認識 |
研究概要 |
本研究は近世奥羽の被差別民研究として、大屋士由著「伊多加考」について分析を行うものである。本年度は下記の3点について作業を進めることを計画した。 (1)田中文庫の未整理書簡の解読・分析、及び目録・史料集の刊行:前年度に引き続き未整理書簡の解読を行ったが、内容が文学、医術、武術、風聞など多岐にわたっており、人物・文物・地名等を確定するのに予想以上に時間がかかり、そのため主たる分析対象である大屋士由の交流状況及び思想背景の分析までには至らなかった。また今年度は未整理書簡の目録・史料集を含めた研究報告書を予定し、そのための準備を進めていたが、先に述べたとおり、人物・文物の確定に予想以上に時間がかかったため、補助事業期間を延長し、刊行は次年度に行うことにした。 (2)大屋士由著「伊多加考」引用文献に関する調査・収集:現地調査を行った結果、会津・仙道地域の俳人らについての文献、「伊多加考」に所収されている西宮社人と吉田家神職との争論史料、イタカの許状受領を取り締まることを命じた吉田家家老鈴鹿家の書簡等を入手することができた。摂津国西宮本社の江戸役用日記は引き続き東京大学史料編纂所所蔵の紙焼きによる調査を行ったが、西宮神社文化研究所で原本を閲覧させていただき、更に諸国願人のデータ等をご提供いただいた。 (3)分析作業:(1)の書簡の解読に時間がかかり、当初の予定ほど進むことができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、(1)田中文庫の未整理書簡の解読、及び研究報告書の刊行を目指したが、解読に時間がかかり、当初の目標を達成することができなかった。(2)大屋士由著「伊多加考」引用文献に関する調査・収集は、現地調査の結果、西宮社人と吉田家神職との争論史料など、これまで確認されたことがなかった史料を入手することができ、また会津・仙道地域の俳人らについても文献が入手することができた。(1)(2)をふまえての(3)分析作業は、(1)の書簡の解読に時間がかかり、あまり進められなかった。
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今後の研究の推進方策 |
書簡類の解読を進め、大屋士由をはじめとする会津・仙道地域の俳人らの交友関係を明らかにする。また「伊多加考」及び収集資料から、19世紀段階におけるイタカの存在形態、及び地方知識人のイタカ認識を分析し、士由の考証学と被差別民認識について分析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
田中文庫の未整理書簡の解読、及び目録・史料集を含めた研究成果報告書の刊行を目指したが、解読に時間がかかり、当初の目標を達成することができなかったため。 主に田中文庫の未整理書簡類の目録・史料集を含めた研究成果報告書の刊行費として使用する。
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