研究課題/領域番号 |
23720318
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
黒嶋 敏 東京大学, 史料編さん所, 助教 (90323659)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 琉球 / 島津氏 / 戦国期 / 国際関係 / 朱印状 / 古文書学 |
研究概要 |
研究初年度である平成23年度は、研究対象である「琉球渡海朱印状」原本2通が寄託されている鹿児島県南さつま市歴史資料センター輝津館に赴き、原本調査を行い、うち1通についてデジタルカメラによる撮影を行った。あわせて関連史料の調査および周辺史跡のフィールドワーク調査を行い、同館学芸員の橋口亘氏より、坊津をはじめとする薩摩半島南岸部の地理的特性・海洋の特性・史料の残存状況などについて種々の貴重なご教示を得た。 これとは別に、鹿児島大学附属図書館玉里文庫をはじめとする鹿児島市内の史料所蔵機関や、沖縄県那覇市歴史博物館などに赴き、島津氏及び戦国期の南九州~琉球に関する史料の調査を行った。 あわせて、「琉球渡海朱印状」の古文書的特質を追及するために、中心的な発給主体となった島津義久が発給した他の文書についても、データを網羅的に収集する作業を開始した。長期に渡り政治的影響力を行使した島津義久の場合、その発給文書は膨大なものになるが、これまでのところ約800通におよぶ文書データを収集することができた。この作業は次年度以降も継続して行う予定である。 これらの研究成果は適宜公表していく予定であるが、今年度の薩摩半島南岸部における地理的・海洋的特性のフィールドワーク調査による成果を、15世紀に当該地域に来航した東南アジア船と当時の国際関係を分析した黒嶋敏「室町幕府と南蛮―<足利の中華>の成立―」(『青山史学』30号、2012年3月、査読有)において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に沿って、おおむね順調に調査を行うことができたが、鹿児島県南さつま市歴史資料センター輝津館に寄託されている「琉球渡海朱印状」原本2通のうち、1通については所蔵者の意向により、デジタルカメラによる撮影をすることができず、原本熟覧による調査のみに留めざるをえなかった。 このため、次年度以降に調査を予定している「琉球渡海朱印状」原本については、より丁寧な検討と分析が必要となる。
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今後の研究の推進方策 |
「琉球渡海朱印状」原本の調査・分析とデジタルカメラによる撮影を進めていく。あわせて、原本史料の史料情報をより鮮明に引き出すため、(1)近世期に編纂された記録類に書写された「琉球渡海朱印状」に関する情報の収集、(2)「琉球渡海朱印状」発給地となった南九州など各地の地理的特性・海洋の特性を探るフィールドワーク調査、(3)「琉球渡海朱印状」発給主体となった島津義久が発給した文書データの網羅的取集作業、以上3点を継続して行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
・「琉球渡海朱印状」原本1通を所蔵している鹿児島県霧島市国分資料館、および残欠1通を所蔵している鹿児島県鹿児島市尚古集成館に赴き、調査および撮影を行う。・あわせて「琉球渡海朱印状」発給地となる大隅半島の港湾史跡など関連史跡に赴いてフィールドワーク調査を行う。・島津義久発給文書の収集作業・戦国期島津氏関連史料の調査
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