研究課題/領域番号 |
23720318
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
黒嶋 敏 東京大学, 史料編さん所, 助教 (90323659)
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キーワード | 琉球 / 島津氏 / 戦国期 / 国際関係 / 古文書 / 境界 / 朱印状 / 海事史 |
研究概要 |
研究2年目となる平成24年度は、研究対象である「琉球渡海朱印状」原本1通を所蔵している鹿児島県鹿児島市の尚古集成館に赴き、原本調査を行いデジタルカメラによる撮影を行った。あわせて関連史料の調査および周辺史跡のフィールドワーク調査を行い、同館学芸員の松尾千歳氏・岩川拓夫氏より種々の貴重なご教示を得た。 これとは別に、鹿児島大学附属図書館玉里文庫をはじめとする鹿児島市内の史料所蔵機関や、沖縄県那覇市沖縄県立図書館などに赴き、島津氏及び戦国期の南九州~琉球に関する史料の調査を行った。また、「琉球渡海朱印状」と関係の深い坊津歴史資料センター輝津館にて開催されたシンポジウム「蘇る中世の貴海嶋」にも参加し、意見交換を行った。 また昨年度より継続中の作業として、「琉球渡海朱印状」の古文書的特質を追及するために、中心的な発給主体となった島津義久が発給した他の文書についても、データを網羅的に収集している。 これらの研究成果は適宜公表していく予定であるが、24年度中に発表した図書・学会報告として、図書に、黒嶋敏『『信長記』と信長・秀吉の時代』「「鉄ノ船」の真相」勉誠出版、2012年、332頁、原著書、共著、金子拓編、および黒嶋敏『中世の権力と列島』高志書院、2012年、332頁がある。また、学会報告に、黒嶋敏「境界論と主―従の関係」史学会 第110回史学会大会 日本中世史シンポジウム「中世史学の未来像を求めて」2012年11月11日 東京大学がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に沿って、おおむね順調に調査を行うことができたが、鹿児島県霧島市国分郷土館に所蔵されている「琉球渡海朱印状」原本1通は、同史料が展示出陳中のため、次年度に先送りをせざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
「琉球渡海朱印状」原本の調査・分析とデジタルカメラによる撮影を進めていく。あわせて、原本史料の史料情報をより鮮明に引き出すため、①近世期に編纂された記録類に書写された「琉球渡海朱印状」に関する情報の収集、②「琉球渡海朱印状」発給地となった南九州など各地の地理的特性・海洋の特性を探るフィールドワーク調査、③「琉球渡海朱印状」発給主体となった島津義久が発給した文書データの網羅的取集作業、以上3点を継続して行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
・「琉球渡海朱印状」原本1通を所蔵している鹿児島県霧島市国分資料館に赴き、調査および撮影を行う。 ・あわせて「琉球渡海朱印状」発給地となる大隅半島の港湾史跡など関連史跡に赴いてフィールドワーク調査を行う。 ・島津義久発給文書の収集作業 ・戦国期島津氏関連史料の調査 ・鹿児島県内での研究報告
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