研究課題/領域番号 |
23720319
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
白石 愛 東京大学, 総合研究博物館, 助教 (60431839)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 日本近世史 / 人類学 / 考古学 / 徳川将軍 / 葬送 |
研究概要 |
今年度は将軍の葬送に関する資料蒐集を眼目として研究を推進した。主に国立公文書館において、史料調査を行った。調査は平成23年7月4日、7月26日、7月27日、平成24年1月31日、2月14日、2月21日、2月28日、3月13日、3月22日の計9日間行った。調査内容は、内閣文庫の史料閲覧およびデジタルカメラによる撮影である。調査の多くには研究協力者1名を同行し、撮影の協力を得た。 閲覧・撮影した史料の内訳は、14代将軍徳川家茂関係654点、13代徳川家定関係67点、12代徳川家慶関係40点、4代徳川家綱関係12点である。事前調査により、最も数量が多いのは家茂の史料であることが判明していたため、優先して作業を行った。その結果、国立公文書館における家茂・家定に関連する調査は、ほぼ終了した。 平成24年3月6日は、宮内庁書陵部図書寮文庫において史料を閲覧した。『昭徳院凶事留』、『文恭院殿薨去並東叡山下向記』、『徳川家重葬送行列』、『惇信院様御遺物』、『有徳院薨去覚書』、『徳川綱吉薨去記』、『徳川家康葬式記』等計12点27冊である。全て非常に良質な史料であり、撮影の申請を提出した。 また、平成24年3月28日、東京大学史料編纂所において、維新史料引継本・溝口家史料・対馬宗家史料・播磨新宮池田家記録・押小路家本から徳川綱吉・家斉など将軍の葬送に関連する史料計9点を原本閲覧、島津家文書2点をマイクロフィルム閲覧した。 一方、デジタル・アーカイヴにて公開されている史料は、積極的に利用することとした。国立公文書館より7点の画像を取得した。また、東京大学史料編纂所には『大日本維新史料稿本』の画像があり、家茂の薨去および葬送に関連する画像を閲覧、一部取得した。 撮影した史料は、必要なものから順次、翻刻作業を行っている。研究協力者にも翻刻を依頼した。現時点で計22点の翻刻が終了している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画で「初年度は、先ず国立公文書館所蔵内閣文庫の史料を調査・蒐集することに重点を置く。」とした通り、国立公文書館における史料調査を行い、同館にて閲覧を予定している史料のうち3分の2程度の閲覧を終えたと判断している。ただし、複写に関してはデジタルカメラによる撮影を優先したため、当初予定の研究費(その他)の多くが未使用となった。
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今後の研究の推進方策 |
国立公文書館における史料調査を続行し、24年度内にほぼ終了できるよう努めたい。また、東京大学史料編纂所、宮内庁書陵部、国文学研究資料館、京都大学図書館など関連史料を所蔵する機関にて、史料調査を行う予定である。 一方、収集した史料のうち、必要なものから順次史料翻刻を進める。研究に利用するのは当然であるが、重要な史料については、研究成果報告書への掲載も念頭に置いている。 なお、平成24年7月に出産予定であるため、その前後は研究を行えない可能性がある。5月までの間に極力史料調査を行うようにする。また、6月までに研究協力者への翻刻依頼を行い、24年度は翻刻の成果を特に出すように努める。
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次年度の研究費の使用計画 |
史料閲覧のうえ、良質な史料と判断したものについて、各機関へ複写申請を行い、複写費として使用する。23年度に使用できなかった分もあり、ここに重点的に研究費を使用する予定である。研究期間内に京都大学図書館への史料調査1回を予定しており、旅費として使用する。 23年度同様、研究協力者へ史料調査への参加を依頼し、謝金として使用する。一方、24年度は必要な史料の翻刻を加速度的に推進するため、研究協力者へ翻刻を依頼し、謝金(原稿料)として使用する。
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