研究課題/領域番号 |
23720319
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
白石 愛 東京大学, 総合研究博物館, 助教 (60431839)
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キーワード | 日本近世史 / 人類学 / 考古学 / 徳川将軍 / 葬送 |
研究概要 |
昨年度に引き続き、史料蒐集を精力的に行うとともに、蒐集した史料の翻刻作業を中心に研究を進めた。 史料蒐集に関しては、国立公文書館において、平成24年4月5日、同24日、5月15日、同29日、平成25年3月13日、同27日の計6日間、史料調査を行った。調査内容は、内閣文庫の史料閲覧およびデジタルカメラによる撮影であった。調査には研究協力者1名を同行し、撮影の協力を得た。内閣文庫所蔵の初代徳川家康から14代徳川家茂まで将軍全員(15代徳川慶喜は近代のため除く)の葬送に関する史料を閲覧・撮影した。総数は414点であった。4代徳川家綱から14代家茂までの11名については、史料蒐集は概ね終了した。また、同館データベースより公開画像19点を取得した。 東京大学史料編纂所においては、平成24年5月17日に調査を行った。同研究所には宗家史料や島津家文書、維新史料引継本の中に重要史料が含まれていた。特に、宗家史料には徳川将軍代々の薨去から将軍代替までの記録が纏まって存在していた。宗家が受けた通知類、大名間の応答に加え、献上した品々は絵入りで記録されているなど、将軍葬送に関して大名側から研究する最良の史料群であった。他にも「慎徳院様薨去一件留」(維新史料引継本)、「徳川家治薨去一件」(島津家文書)、「文恭院様従御不例薨御付諸事覚」(溝口家文書)など徳川将軍葬送に関連する重要史料計24点の複写をした。 23年度に宮内庁書陵部図書寮文庫へ複写申請をした史料は完成し納品された。庭田嗣子の「昭徳院凶事留」、進藤為静「文恭院殿薨去並東叡山下向記」など公家側から見た徳川将軍の葬送に関する良好な史料を入手した。 一方、翻刻作業も研究協力者4名に依頼し、24年度中に計10点、枚数にして293枚の翻刻が提出された。代表者自身も翻刻作業を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書の24年度研究実施計画に示した国立公文書館、宮内庁書陵部、東京大学史料編纂所における史料調査および蒐集は、ほぼ予定通り進行している。国立公文書館の調査では、414点の史料を閲覧・撮影した。内訳は、14代将軍徳川家茂関係59点、13代徳川家定関係18点、12代徳川家慶関係76点、11代徳川家斉関係33点、10代徳川家治関係34点、9代徳川家重関係33点、8代徳川吉宗関係15点、7代徳川家継関係18点、6代徳川家宣関係63点、5代徳川綱吉関係19点、4代徳川家綱関係7点、3代徳川家光関係19点、2代徳川秀忠関係8点、初代徳川家康関係12点である。大半の史料蒐集を行うことが出来た。 東京大学史料編纂所では、14代家茂1点、13代家定2点、12代家慶5点、11代家斉5点、10代家治3点、9代家重1点、8代吉宗3点、6代家宣2点、5代綱吉2点の計24点を閲覧複写した。他に家重2点、維新史料稿本の家茂該当記事をウェブ・データベースより取得した。 翻刻では、維新史料稿本より家茂該当記事7点、「文廟御伝略・徳廟御葬式・惇廟薨御一件」(『雑載』)、「安政五年家茂御遺物之儀ニ付慎徳院・温恭院之先格しらべ」等が提出された。 以上のように、史料調査・翻刻作業共に概ね順調に研究が進んでいる。ただし、出産により育児休業を取得したため、当初予定していた京都大学への史料調査を行うことが出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は国立公文書館の史料調査を完了させる。初代家康から3代家光までの史料が一部未調査である。引き続き調査を行い、全ての史料閲覧・撮影を行う。その他に、京都大学、国立国会図書館、国文学研究資料館、東京都公文書館での史料調査を予定している。京都大学の調査は昨年度の予定であったが、妊娠出産のため調査を遂行できなかったため、本年度に行いたい。同大学は徳川時代書留集の内「将軍宣下薨去一件帳」、「徳川家斉薨去一件帳」などを所蔵している。研究協力者1名とともに、史料調査の出張を計画している。国立国会図書館には、「常憲院殿御葬礼之次第」、「大御所様薨御御新葬一件」、「徳川将軍葬儀図」、「御新葬一件」などが所蔵されている。 調査により蒐集した史料の翻刻作業は引き続き研究協力者に依頼し、多くの成果を出すように努めたい。代表者自身も本年度は翻刻作業を集中的に行いたい。国立公文書館内閣文庫の14代徳川家茂関係の史料群や、東京大学史料編纂所で複写した宗家史料は研究の核をなすと考えられる。その他比較的に検討可能な史料の翻刻を進めていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費は史料調査等の研究に必要な物品や図書の購入を予定している。 旅費として京都大学への出張調査を1回計画している。研究協力者1名を同行予定である。 人件費・謝金は、主に翻刻の原稿料として使用予定である。また、史料調査に参加する研究協力者1~2名分の謝金を支出する。年度前半に集中的に行いたい。前半は各月2回程度、後半は必要に応じて行いたい。 その他は、主に史料調査において研究に必要な史料の複写費として使用する。その他、調査地までの交通費等に使用予定である。
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