黎明期の日本のアカデミズムにおいて、被差別部落民はどのような存在として理解されたのか。本研究では、人類学者の鳥居龍蔵、民俗学者の柳田国男、歴史学者の喜田貞吉らの被差別部落研究を取り上げ、彼らがどのような関心から被差別部落研究を行ったのか、また彼らの研究が当時の日本人論とどのようなかかわりを有していたのかについて考察した。研究の結果、被差別部落民については日本人を構成する周縁的エスニック・グループの末裔という認識が強かったこと、そして、こうした認識は日本社会全体に広く受け入れられていたことが明らかとなった.
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