研究課題/領域番号 |
23720340
|
研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 |
研究代表者 |
馬場 基 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (70332195)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 資料学 / 木簡学 / 日本古代史 / 時空間分析 |
研究概要 |
今年度は、主として1木簡記載地名を現地名に置き換える作業、2その地名に具体的な数値を付与する作業、の二つを行った。この作業は、当初計画の研究目的A各タグやデータに不足している情報の検討・補充と、B各木簡のデータに不足している項目の検討・補充に相当する。なお、当初計画ではSK820土坑出土木簡(特に塩荷札)についてのみこの作業を重点的に行うこととしたが、研究の効率や上記諸点の必要性が早期に確認されたことに鑑み、現時点でタグが付与されたデータに対しSK820出土木簡を優先しつつも、極力網羅的に作業を進めている。現時点では地名の置き換え作業が6割程度、数値化は数例をサンプル的におこなっている。 また、既存のシステムに改良を加え、「木簡の構文・文字表記パターンの解析・抽出研究(若手研究(B)。研究代表者・馬場基)」で作成し、「木簡など出土文字資料釈読支援システムの高次化と綜合的研究拠点データベースの構築(基盤研究(S)。研究代表者・渡辺晃宏)」に反映させ、さらに情報を追加したデータを直接的に本研究に利用出来るようにした。これは、当初計画の研究目的C関連データとの連携に必要なテーブルなどの検討・対策に相当し、一定の成果を得られたと言える。さらに、当初計画通り、「ボーンデジタル画像管理システムの確立に基づく歴史史料情報の高度化と構造転換の研究(基盤研究(A)。研究代表者・山家浩樹)」と成果を共有することで、データ蓄積の効率化も検討した。ただし。この点についてはまだ有効な方向性の確立には至っていない。 なお、東日本大震災の影響により、当初研究費の執行を控えるようにとの通達を受け、作業着手が遅れてしまった。その結果、見通しより作業の進捗が遅れ、時空間分析ソフトGT-MapとGS-Mapでの実験が行えていない。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
基礎的データの作成や、研究進展の為のシステム改良、また他の研究グループとの意見交換や成果共有のための検討は比較的順調に進めることができた。ただし、GT-Map・GS-Mapなど時空間分析システムでの実験が遅れている。 これは、年度当初、補助金執行を7割程度以内に留めるようにとの通達があったことにより、アルバイト雇用などを控えたため、作業の進捗が遅れ、年度後半での挽回を期したものの、アルバイト確保などに困難があったことが主たる原因である。
|
今後の研究の推進方策 |
基本的に、当初計画通りの推進を目指す。GT-Map・GS-Mapを用いての実験が遅れているが、それ以外は総じて順調に作業が進んでいる為である。なお、GT-Map・GS-Mapを用いての実験の遅れについては、平成24年度中に挽回したい。また、この実験の遅れを取り戻すため、墨書土器に関する作業等、当初平成24年度中に計画していた内容の若干を平成25年度に繰り越す。イメージとしては、平成23年度の遅れの内70%は平成24年度中に解消し、30%は平成25年度に解消したい。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度の遅れを取り戻すため、人件費・謝金に多めに研究費を投入する。合わせて、作業の進捗に伴う意見交換や研究成果の共有、木簡記載地名の現地状況の検討等を積極的に行うための旅費も確保する。 なお、現時点で大がかりな物品購入の必要は認められないので、物品費は計上していない。また、研究の進捗に伴うシステム改良に必要等を考慮しその他の項目に予算を充てているが、研究の進捗状況によってはこの額には変動が見込まれる。
|