研究課題/領域番号 |
23720343
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
蓮田 隆志 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (20512247)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ベトナム / 近世 / 文書 / 史料 |
研究概要 |
平成23年度は、年度初めに応募者の転勤という予定外の事態が起こったため、当初予定を変更しベトナムでの現地文書調査を延期した。元々予定していた国内作業については、(1)正史類をはじめ『歴朝憲章類誌』をはじめとする制度史書など主要史料を順次検索し、制度上規定される文書行政システムの大枠と時代ごとの変遷を整理している。これについては当初予定どうり進んでいる。 また、(2)各種文書様式の分類と文書伝達経路のモデル化のための既収集史料の分析については、ニンビン省での既収集文書とフエでの収集文書を中心に分析を進めた。フエ文書については「旧例と憑 ――近世中部ベトナム村落の生存戦略」(『環東アジア地域に於ける社会的結合と災害』所収)を発表した。国家側から下された文書4通を取りあげ、まず様式的検討を加えた。この種の文書についての様式の検討は本講が嚆矢と言える。また、様式検討を踏まえたうえで、村落の既得権発生・拡張・維持のプロセス・戦略に検討を加え、先例の獲得を文書という形で固定化・可視化し、その更新を通じて既得権を維持・拡張するという村落側の戦略を明らかにしたほか、北部と中部とでの文書作成技術の共通性およびその原因としての歴史的経緯についても見通しを示した。 以上から、「前近代ベトナムにおける地方行政システムを一次史料である地方文書を用いて再構成する」という研究当初の目的に沿った形で十分な成果をあげたと評価できる。このほか、日本語と英語とで2件の学会報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・現地での新規文書収集については調査を行えなかったために、遅れが出ている。しかしこれは24年度以降に十分挽回可能である。・既収集文書の分析については、【研究実績の概要】欄で述べたとおり、順調な進展を見せた。
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今後の研究の推進方策 |
・昨年度から延期した現地調査を行う。場所はハティン省を予定している。・既収集文書の分析は昨年度の成果を踏まえて着実に上積みを期待できると考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
・昨年度から延期した現地調査を行う。場所はハティン省を予定している。・ベトナム史・東南アジア史関連の研究書および文書(もんじょ)の分析に関する日本史・中国史の研究書を中心に購入する。
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