本研究は、モンゴル高原や中国大陸から離れて暮らすモンゴル人を「在外モンゴル人」と位置づけ、第二次世界大戦後の東アジアにおいて在外モンゴル人の社会が形成される過程と、彼らの政治動向について分析した。とくに焦点を当てたのは、第二次大戦から中華人民共和国成立前後までに主に内モンゴルから日本や台湾へ渡ったモンゴル人である。この研究を通じて、日中戦争期に内モンゴルから派遣されたモンゴル人留日学生が、戦後日本で中国人留学生や華僑の組織化に深く関わっていたこと、台湾に渡ったモンゴル人の政治的背景は必ずしも一様でないことを明らかにすることができた。
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