[出版]チベット語敦煌出土土地文書を研究する過程で、チベット支配下敦煌の土地制度とチベットの千戸制度の関係をある程度明らかにすることができ、論文「古代チベット帝国の千戸とその下部組織」として出版した。さらに「古代チベット帝国の外交と「三国会盟」」で、チベットの外交上の成功が仏教事業の興隆を引き起こし、その結果仏教事業のための徴税が盛んに行われたことを明らかにした。2011年度に口頭発表をしたチベット語土地台帳と、チベット帝国税制上の農・牧の関係とについては、現在論文を準備中である。また、2012年度に研究発表を行った中国国家図書館所蔵の新出チベット語土地文書について、本年度集中的に解読を行い、ある程度の見通を得ることができた。本年度中に論文を発表するには至らなかったが、今後できるだけ早く出版することを目指す。 [口頭発表]土地制・税制を研究するために公文書群を通読する過程で、今まで知られていなかったチベット帝国の行政システムと行政用語の存在を明らかにすることができた。そこで、得られた知見をそれぞれ“Some technical terms in Old Tibetan official documents”(13th International Association for Tibetan Studies)、「古代チベット帝国の文書行政と行政用語」(ユーラシア東部地域における公文書の史的展開』)として発表した。これらの研究結果は早晩出版する予定である。 [調査]2014年2月にフランス国立図書館、大英図書館にてチベット語・漢語で書かれた敦煌出土土地・税制文書の調査を行った。またあわせてギメ東洋美術館にてペリオの中央アジア探検写真の調査を行った。
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