現地調査で収集した「先塋碑」と総称される、系譜が刻まれた碑刻や、その他の文集などに焦点を当て、12-14世紀の中国華北社会における、王朝の興亡や文化変容が、自らの出自や文化的背景に関する人々の歴史的記憶に及ぼす影響を、当時の基礎的な社会単位「宗族」(父系同族集団)の概念・形態の通時的変化から明らかにすることを目指した。 その結果、それが碑刻であれ文献であれ、一旦作成されたかかる資料が、時代ごとに異なる角度から解釈・再解釈され、それがさらなる自己認識や歴史記憶の変遷につながっていたことを明らかにした。
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