研究課題/領域番号 |
23720354
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
渡辺 美季 神奈川大学, 外国語学部, 准教授 (60548642)
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キーワード | 琉球 / 自意識 / 中国 / 日本 / 家譜 |
研究概要 |
本研究は近世期(1609~1879年)の琉球が、「中国・日本への『臣従』」と「自意識の強化」を同時に進行させた事実に着目し、この時期の琉球王国の自意識の在り方と中国・日本との国際関係との相関を多角的に検討するものである。その目的は、中国と日本に異なる形で臣従し、そこから生じる諸矛盾に対応しつつも、比較的安定的に両国の狭間に存在し続けた近世琉球の社会構造、ひいては東アジア国際関係の運営・維持の構造の一端を、王国を支える人々の「自意識」の在り方から解明し、琉球史研究および近世東アジアの国際関係史研究に新たな視点を提示することである。 代表者は、2009~2010年度に受けた科学研究費「家譜から見た近世琉球の国際関係と東アジア」において、近世琉球の家譜(系譜)の精査・分析により、(1)王府が主導した王国の自意識が、琉球社会内部(個々人/各地域)でどのように消化され、多様化し、いかなる影響力を持ったのか、(2)またこの自意識は当時の琉球の国際的立場―中・日への「臣従」―とどのような相関性を有していたのか、といった諸点を明らかにすることが可能になり、近世琉球の自意識の全体像を多角的に解明し得るのではないかという着想に至った。 この目的と着想に沿って、(1)那覇市歴史文化博物館に所蔵されている国宝尚家文書の内の関連史料の複製収集、(2)前年度に収集した史料(主に家譜史料)の分析・考察、(3)成果の一部として自意識の形成と実際の中国・日本との接触・交流・外交の関係性を考察した単著『近世琉球と中日関係』(吉川弘文館)の刊行を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に収集した家譜史料の整理をほぼ終え、分析・考察が順調に進展中である。また昨年度、那覇市歴史文化博物館所蔵・国宝尚家文書の中に、家譜史料を裏づける有益な史料が多々あることが判明したが、それらの一部を複製収集することができた。さらに自意識の形成と実際の中国・日本との接触・交流・外交の関係性を考察した単著『近世琉球と中日関係』を刊行した。 なお本年度も国内外において史料調査や学会報告を行う予定であったが出産のため実施できなかった。その分は次年度以降に順次取り組む予定である。
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今後の研究の推進方策 |
沖縄本島の各機関(沖縄県立図書館、琉球大学附属図書館など)において家譜を中心とした関連史料を収集する一方、豊富な家譜および関連史料を所蔵しているにもかかわらず、まだその大半が未刊行で十分に研究に活用されていない石垣市立八重山博物館における調査を実施する。またあわせて昨年度収集した尚家文書の分析・考察を行う。これにより、本島家譜に見られる自意識の在り方と、周辺離島の家譜に見られる自意識の在り方を比較し、そこに中国・日本との関係性がどのような影響を及ぼしているのかを考察する。 なおこれらの諸段階で得られた研究成果の一部は、海外・国内における会議・学会誌等により公表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.本島・離島の家譜および関連史料・史跡の調査を行う。 2.研究成果の一部を発表する際の校正を専門家に依頼する。 3.その他、研究に必要な資料・文具などを随時購入する。 なお今年度の残額は、一部の書籍・史料の割引価格ないしは送料無料による購入のために生じたものである。
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