本研究は近世期(1609~1879年)の琉球が、「中国・日本への『臣従』」と「自意識の強化」を同時に進行させた事実に着目し、この時期の琉球王国の自意識の在り方と中国・日本との国際関係との相関を多角的に検討するものである。その目的は、中国と日本に異なる形で臣従し、そこから生じる諸矛盾に対応しつつも、比較的安定的に両国の狭間に存在し続けた近世琉球の社会構造、ひいては東アジア国際関係の運営・維持の構造の一端を、王国を支える人々の「自意識」の在り方から解明し、琉球史研究および近世東アジアの国際関係史研究に新たな視点を提示することである。 本年度(4年目)は、過去三年間の研究の総括を行った。これまでに収集した史料類の再検討を行い、その上で総括的な研究成果として論文「東アジア世界のなかの琉球」をまとめた。また複数のシンポジウム・研究会等においても成果を部分的に報告し、議論を行った。
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