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2011 年度 実施状況報告書

中世ヨーロッパにおける説教形式の進化の研究

研究課題

研究課題/領域番号 23720371
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

赤江 雄一  慶應義塾大学, 文学部, 助教 (50548253)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード西洋史 / 中世史 / 説教 / メディア / 国際情報交換 / イギリス
研究概要

研究計画にしたがい、本年度は、写本および刊行史料の収集と、ウェールズのジョンの説教術書写本の校訂作業、研究文献の収集に当てられることになっていた。写本および刊行史料の収集については期待した成果をあげることができた。関連写本のマイクロフィルムあるいはCD-ROMというかたちでの収集も進展を見た。一方、他の写本との部分校合などを含む校訂作業に関しては若干足踏み状態であった。一つの理由は近年急速な進展を見ているディジタル・ヒューマニティーズの成果について知る必要が生じたことである。オックスフォードでのワークショップへの参加などを経て、新しいデジタル上での校訂技術の導入を図っているが、これまでの作業状況との兼ね合いが難しいことが判明しつつある。ひとまず、より安全な旧来のやり方での完成を目指す方向で進めているが、新規技術で進めた作業を逆に再度どのようにそれ以前の作業と接合するかが問題である。校訂作業での模索が続くなか、他方では、すでに本文転写作業が終了しているウェールズのジョンの説教術書の内容と、前後する時代の説教術書との比較分析作業(本来は次年度の予定)に進展がみられた。とりわけ、ウェールズのジョンの説教術書とその後30年ほど後に書かれた説教術書を比較することによって、「語的一致」というテクニックに対する説教者たちの認識が大きく変化したことが明らかになった。説教形式の進化に深く関わるこの成果に関しては、平成23年11月に広島史学研究会大会西洋史部会にて報告した。これらの成果を含む単著公刊のための英文校閲作業も進展を見た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

上述した校訂作業に関連する技術的困難が主な原因である。他方、説教術書間の比較分析については大きな進展を見つつあり、全体としてみれば、校訂作業の遅れを埋め合わせることができる進度であると言える。

今後の研究の推進方策

本研究の成果を含む単著公刊にあたって、出版社から英文校閲作業を求められたために、前倒しでの支出が生じた。次年度では、逆にそれほどの英文校閲のための費用は生じないと考えられる。 校訂作業に関しては技術上の困難が残っているが、網羅的写本校合よりも、各系統の写本の中で代表的な写本に絞り込んだ校合を版面に反映させることで、困難の一側面である量的問題を軽減することができると考えている。

次年度の研究費の使用計画

平成24年7月にイギリス・リーズで開催される International Medieval Congress で成果の一部の報告を行う予定である。なお、こうした研究発表の機会に、国外の研究者との、研究の進展・状況についての情報交換を行うとともに、写本の確認も行うことを予定している。次年度の研究費の多くの部分はそのための国外出張にあてられる予定である。なお、本研究に主に用いているコンピュータの速度が大幅に遅くなっているために、買い換えを余儀なくされる可能性も考慮に入れている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 新説教形式とウェールズのジョンの説教術書2011

    • 著者名/発表者名
      赤江雄一
    • 学会等名
      2011年度広島史学研究会大会西洋史部会
    • 発表場所
      広島大学
    • 年月日
      2011年11月30日

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公開日: 2013-07-10  

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