研究課題/領域番号 |
23720372
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
大澤 広晃 国際基督教大学, アジア文化研究所, 研究員 (90598781)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | イギリス / 帝国主義 / 先住民保護の精神 / 人道主義 / 南アフリカ |
研究概要 |
2011年度は、1)国内での史資料調査、及び、2)イギリスでの史資料調査を実施し、3)そこで得られた成果とこれまでの研究成果を論文および口頭報告のかたちで発表した。それぞれの具体的内容は、以下のとおりである。1)イギリス議会文書のオンライン・データベースを用いて、「先住民保護の精神」に関連する記事を収集し、分析を行った。これにより、政治家、経済人、宣教師など、多様な人々が「先住民の保護の精神」を唱道・実践していたことが判明した。こうした多層的人的結合を具体的に把握できたことは、大きな成果であった。2)主に、国立公文書館とオクスフォード大学ローズハウス図書館で一次史料の調査を行った。前者では植民地省文書を、後者では原住民保護協会(Aborigines Protection Society)文書を主に分析した。その結果、1)の成果を補強するかたちで、「先住民保護の精神」に関連する人的ネットワークを浮かび上がらせることに成功するとともに、その構成主体らがいかなる問題意識や関心のもとで「先住民保護の精神」を唱道していたのかを析出することができた。また、この調査旅行では、一次史料の画像データを多数収集できたので、国内においても引き続き史料分析を行っていく。3)口頭報告を、日本西洋史学会大会(2011年5月、日本大学)、政治経済学・経済史学会兵器産業・武器移転史フォーラム(2012年1月、東京大学)、イギリス帝国・コモンウェルス研究会(2012年1月、東北学院大学)で行った。また、論考が、『歴史学研究』第890号、『ヨーロピアン・グローバリゼーションと諸文化圏の変容 研究プロジェクト報告書』第V号に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載した通りに調査を行い、具体的な成果も発表している。ただ、昨年度は英語による成果を挙げることができなかったため、今年度は、英語・日本語両方で研究成果を発信することを心掛ける。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、申請書に記載した研究計画に沿って研究を遂行していく。国内での史資料調査は、二次文献の読解による研究動向の批判的把握、データベースを用いた一次史料の分析、収集した史資料の分析を行う。国外では、南アフリカで史資料調査・収集を実施する。以上に基づき、英語・日本語での論文発表、及び、口頭報告を行うことで、研究成果を日本と成果に向けて積極的に発信していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、関連文献および備品の購入、南アフリカでの調査旅行に経費を使用する。今年度は当初予定よりも経費支出を抑え、次年度に繰り越したが、それは、南アフリカでの調査旅行により多くの経費を用いようと考えたからである。
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