本研究では、縄文時代における居住形態の様相について通時的に把握することを目的とし、集落遺跡に関する分析を行った。その結果、複数の大きな画期が認められた。前期前半の北上川流域では長方形大型住居跡による集落遺跡が出現し、顕著な地域性が認められる。その後、長方形大型住居跡は消失するが、集落遺跡の特徴には継続性が認められ、中期前半は穏やかな変質期として考えられる。中期後半には、再び新たな場所に集落が形成され、そこを拠点とし遺跡数が増加し、集落遺跡数が最大となる。このような結果からは、縄文時代の文化的特徴が必ずしも固定的、直線的に発生・展開しているのではなく、人の移動を含め流動的な様相が想定できる。
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