本研究は、中世土師器を主たる研究対象とし、これまで十分に明らかにされてこなかった中世土器生産体制について、考古学・文献史学の両側面から検討し、土器生産工人の動向や組織のあり方、製作技術の継承や模倣という観点からみた製品の展開や地域間交流の実相を明らかにすることを目的とする。戦国時代末期に作成された『長宗我部地検帳』の検討から、郡単位で土器工人が存在し、神社に従属しながら半農半工の生活をおくっていたことなどが明らかになった。一方、考古資料としては兵庫県地域を主にとりあげ、これまで様相が明らかではなかった但馬地域における中世土器様相を整理検討することができた。
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