本研究を行うにあたり、マケドニア王国の形成・拡大過程における都市建設・植民活動の重要性が認識され、特に社会上層部の再編に異文化融合の様相が表れるとの知見を得た。これに従い、王国の主要3都市のネクロポリスにおける大規模建造墓の分析を遂行し、なかでも建造式室形墓の建築構造の型式分類からその系統を明らかにし、都市毎の特徴を捉えた。ここにおいて、ヴェルギナには全段階の型式が存在し、レフカディアには比較的新しい段階のみが存在し、都市の特徴を含めて解釈すれば後者に異文化融合の度合いの高さが認められた。更に、埋葬主体部正面部の各柱式墓群において文化的相違の示唆を獲得し得た。
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