最終年度となる2014年度は、羽曳野市野中寺所在のヒチンジョ池西古墳石槨(二上山産出白色凝灰岩製)のデータの追加処理と図面作成を行った。 また、石材の加工痕跡の補足調査として、明日香村牽牛子塚古墳石槨の外周方形切石(寺山石・石英安山岩製)、および飛鳥寺出土不明石造物(竜山石・溶結凝灰岩)の観察と三次元レーザー計測を実施した。本研究では、これまで二上山凝灰岩を中心に、石工技術復元のためのデータを収集してきたが、この2例の調査により、軟質石材である二上山凝灰岩と硬質石材である寺山石・竜山石との石工技術の比較が可能となった。 以上を踏まえて、これまでに収集した飛鳥時代の石工技術に関する三次元データを改めて体系的に整理し、加工痕跡画像の比較図他を作成し、4年間の研究成果を総括した。その結果、飛鳥時代初期に朝鮮半島経由でもたらされた硬質石材の加工技術が、飛鳥時代後半に二上山凝灰岩の加工へ導入され、発達していった経過が鮮明となった。 年度末に4年間に実施してきた測量・計測成果やその分析、基壇外装石や横口式石槨石材の加工技術の比較、評価等に関する成果を1冊の報告書にまとめ、刊行することができた。
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