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2011 年度 実施状況報告書

暫定的クラスターが産業集積内の企業活動に与える影響

研究課題

研究課題/領域番号 23720399
研究機関東京大学

研究代表者

與倉 豊  東京大学, 総合文化研究科, 助教 (70586552)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードテンポラリークラスター / 産業集積 / 見本市 / 関係性
研究概要

本年度は,地方の産業集積地域で開催される見本市(地方開催型見本市)に着目し,見本市の参加主体である出展者および来場者の多様な関係性構築の状況について検討した.見本市のような,非日常的に主体が集合する経済的現象は,テンポラリークラスターと呼ばれ,イノベーションに繋がる知識や情報の獲得の面で注目されている.事例とした諏訪圏工業メッセは長野県の諏訪地域内の精密微細加工技術を有した企業が多く参加する見本市であり,2002年の初開催以来,開催規模は順調に拡大しており,諏訪地域内の企業にとって重要なイベントとして認識されつつある. 本研究では見本市主催者への聞き取り調査や既存資料の検討などによって,出展者が見本市に参加する目的として,新規取引先の獲得,自社の知名度の向上,来場者・出展者との情報交換などがあることを明らかにした.特に諏訪地域内の十分な営業力を有していない中小企業は,見本市の役割を重視している.彼らは既存の取引先を招待し接待を行うなど,見本市を長期的な受注関係・信頼関係の構築の機会としても利用していることが示唆された. さらに,商社機能を有した企業や,海外との販路開拓に成功した企業によって,域外の市場の情報やニーズが諏訪地域内に導入されうる点も見本市の利点であると考えられる.このように見本市で得られた域外市場の情報や知識が,産業集積内の勉強会や研究会などの水平的関係性を通じて,域内企業に波及されることにより,産業集積がグレードアップする可能性を説いた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は研究目的にあげたとおりに,長野県諏訪地域の産業見本市に関する検討が完了し,論文を発表することができた.2012年5月には,諏訪地域の産業見本市の分析成果とともに,経済的パフォーマンスとの因果関係に関する統計分析を加えて,国際会議で報告する予定である.

今後の研究の推進方策

産業見本市と経済パフォーマンスとの因果関係の統計分析を行う.また福岡県の半導体産業関連の国際会議(見本市)である,半導体実装国際ワークショップを事例に,海外企業との販路開拓を中心に検討を行う.なお長野県諏訪地域に関する経済パフォーマンスに関する統計データを購入する予定であったが,より良い指標に関する資料を入手することができた.そのため統計データの購入を取りやめたが,かわりに入手した資料が紙媒体であるため大量のデータ入力が必要となり,次年度にデータ入力補助作業の謝金としての使用額を増大させる必要があった.

次年度の研究費の使用計画

関連図書購入費,統計分析ソフトウェアと共分散構造分析の専門ソフトウェア購入費,国内外で研究成果を発表するための旅費,見本市主催者や公設試験研究機関などへの聞き取り調査の旅費,その他論文作成のための諸経費が必要となる.さらに「今後の研究の推進方策」で記述したように,統計分析のための紙媒体の資料のデータ入力の謝金が必要となる.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 共同研究開発の関係構造と空間的パターン――地域結集型共同研究事業を事例として2012

    • 著者名/発表者名
      與倉 豊
    • 雑誌名

      東京大学人文地理学研究

      巻: 20 ページ: 39-56

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 地方開催型見本市における主体間の関係性構築――諏訪圏工業メッセを事例として2011

    • 著者名/発表者名
      與倉 豊
    • 雑誌名

      経済地理学年報

      巻: 57 ページ: 221-238

    • 査読あり
  • [学会発表] 地域イノベーションのネットワーク分析2012

    • 著者名/発表者名
      與倉 豊
    • 学会等名
      日本地理学会春季学術大会シンポジウム
    • 発表場所
      首都大学東京
    • 年月日
      2012年3月29日

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公開日: 2013-07-10  

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