2000年時点で,沖縄農業は環境適応的技術の発現という技能的性格を求められていたが,2010年代には,「上からの技術」を通じて沖縄の不安定な生態環境に対処することが可能となり,農家間の技術標準化が進んだ.一方,機械化が生産力上昇に貢献しないという沖縄農業の特徴は,基本的に変化していない.農家は,生産力上昇のためには肥培管理技術(栽培技術)で対応していた. 2000年代以降,農外就業機会における労働条件が悪化する中で,農家は家計費の充足を求めて,農業部門への傾斜をより深めていた.この傾向は,離島部だけでなく農外就業機会が相対的に豊富とみられた本島南部においても看取された.
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