研究課題/領域番号 |
23720403
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
筒井 一伸 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (50379616)
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キーワード | 農山村 / エリアマネジメント / 地域運営組織 / 地域政策 / まちづくり協議会 |
研究概要 |
本研究は「まちづくり協議会」や「地域振興協議会」などの農山村の地域運営組織における実態解明と課題検討のため,「エリアマネジメント」の概念を導入し課題分析を行う。 平成24年度は(1)農山村における地域運営組織の設置状況に関する全国アンケート調査(全国町村会やJC総研との共同実施),(2)農山村における地域運営組織の運営に係る課題等のインタビュー調査,(3)地理情報システム(GIS)による地域運営組織のエリア設定に係る分析のための基盤地図構築,を主に実施した。 (1)平成23年度の成果から,農山村における地域運営組織の設置状況については総務省などの既往の資料からでは全容が把握できないことが判明したため,大規模なアンケート調査の必要性が確認され,アンケート調査票の設計を行った。この調査は本研究の根幹をなすものであり,回答率を高める観点から関連組織である全国町村会及びJC総研とも共同してアンケート調査を実施した。全国1742市区町村に配布し,1184市区町村から回答を得た。回収率は67.9%であった。 (2)については平成24年度は鳥取県日南町,熊本県氷川町,宮崎県高千穂町,兵庫県多可町,新潟県長岡市,山口県長門市,鹿児島県瀬戸内町において実施し,課題抽出と論点整理を実施した。(3)については(1)で回答を得た1184市区町村のうち229市区町村から地図データの収集ができた。これらについては紙ベースの地図であるため,GISで分析を行うためのデジタル化が必要になるためその準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23度の研究成果から農山村における地域運営組織の設置状況に関する大規模なアンケート調査を実施する必要が生じたが,全国町村会やJC総研との共同実施が行えたため回収率の高い調査をが行えた。そのため,研究計画全体としては大きな遅れが生じる状況ではない。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は大きく次の2つの研究活動を行う。 (1)地域運営組織の対象とするエリア(空間領域)の実態把握:平成24年度実施した地域運営組織の設置状況に関するアンケート調査と,それに合わせて収集した地図データの分析を行うことで,空間領域の特徴を明らかにする。そのために得られた地図データのデジタル化(シェープファイル化)を平成25年度前半で行い,後半では既往の社会経済的データともあわせてGISを用いて空間分析を実施する。 (2)地域運営組織の主体形成における課題抽出のためのインタビュー調査(ないしはアンケート調査):平成24年度までも実施してきたが,平成25年度は特に主体形成を念頭に置いたインタビュー調査を実施する。また必要に応じて数量的な分析を行うためのデータ収集の一環として追加アンケート調査も補助的に行う。 平成25年度は最終年度であるため,いくつかの調査対象となっている市町村の地域運営組織のメンバーと共有化を図る取り組みを行うとともに,学会等での報告を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
①物品費は主として「GISによるエリア設定の分析」に用いる地域統計・空間情報の整備にかかる消耗品費に充当する。 ②旅費は地域運営組織の概要とそれを取り巻くネットワークを明らかにするためのインタビュー調査に充当する。 ③謝金等は,地域運営組織の設置状況に関する地図データのデジタル化(シェープファイル化)の作業補助に充当する。 ④その他は地域運営組織の主体形成における課題抽出のための追加アンケート調査の調査票印刷費や郵送費に充当する。 なお平成24年度より繰り越した研究費は,地域運営組織の設置状況に関するアンケート調査の回収率が当初予定よりも高く,そのため地図データも多く集まったためその整理に時間を要し,デジタル化(シェープファイル化)の作業開始が遅れたためその経費相当分として生じた。そのため,繰り越し相当分は地域運営組織の設置状況に関する地図データのデジタル化(シェープファイル化)の作業補助謝金および追加で実施する地域運営組織の主体形成における課題抽出のためのアンケート調査の調査票印刷費や郵送費に充当する。
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