ミラノの社会センターは、「不法占拠」空間であっても、社会的なものから隔絶されてはいないことが明らかとなった。むしろ、外部(地区や都市)への開放性を創出してきたからこそ、この空間を存続させられた。そこでは、「地域(領域)territorio」という概念に非常に重要な価値が置かれてきた。かれらは、既存の制度とは徹底して異なり、それとは衝突するような目線で、地域と住民を研究し描写すること、さらには住民を自らの実践に巻き込むことで、いわば別の地域、別の社会を構築していく知恵を具体化してきた。ここから、「地域(領域)」の概念を基盤にして、住民との、住民同士の民主的協働を形成する可能性を指摘できた。
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