研究課題/領域番号 |
23720424
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大石 高典 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 特任研究員 (30528724)
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キーワード | 動物性蛋白質 / 淡水漁労 / 国際情報交換 / 中央アフリカ共和国 / ガボン共和国 / アメリカ合衆国 / フランス共和国 / ベルギー王国 |
研究概要 |
カメルーン共和国の継続調査地と隣接するコンゴ共和国では、カメルーンとは異なる貨幣経済の浸透状況がみられる。2012年12月中下旬にかけて、コンゴ共和国に渡航し、比較の観点から首都ブラザビルを拠点に現地調査を行った。1990年代後半から2000年まで続いた内戦後、流通インフラの復旧が著しく遅れているコンゴ共和国北部では、カメルーンのような換金作物の栽培拡大という形ではなく、むしろ都市部における動物性蛋白質の需要拡大と市場価値の高騰に呼応した野生獣肉及びコンゴ川産淡水魚の商業取引拡大といった形で、貨幣経済化の浸透が進んでいる。そこで商品としての燻製淡水魚の熱帯林から都市までの商品連鎖に着目して調査を行った。 年度後半は、海外研究者との研究交流による情報交換にも力を入れた。別財源による出張も含めて、2013年1月には米国・ワシントン州立大学人類学部、2013年2月にはフランス・リヨン第2大学言語ダイナミクス科学研究室、2013年3月にはフランス・パリ国立自然史博物館環境人類学研究室、ならびにベルギー王国・ブリュッセル自由大学社会学研究所をそれぞれ短期訪問し、中央アフリカ共和国、ガボン共和国で熱帯林地域住民を対象にインテンシブな研究を継続している海外研究者と情報交換を行った。これにより、代表者が調査しているカメルーンとコンゴにおける経済的不平等への住民の対応事例を、コンゴ盆地北西部全体の文脈の中に位置づけることができた。今後、特に長期継続調査を行っている米国ならびにフランスの研究グループとは、本研究課題に関連した共同研究を本格的に開始する予定である。 得られた研究成果の一部は、共著書1冊と学術雑誌論文2本(いずれも和文)として刊行したほか、国際会議における発表2件(2012年5月にフランス・モンペリエで開催された第13回国際民族生物学会講演)と国内学会における発表3件を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2012年の夏季にカメルーン共和国にて予定していた現地調査を行うことができなかったため、予定を変更した。コンゴ共和国に渡航して調査を行い、カメルーンの調査地で継続観察を行っている状況について、異なる角度から検討する視点を得た。また、海外研究者との情報交換により、本研究課題の貢献しうる、より大きな問題枠組みについて気づくことができた点で大変有意義であった。国内では前年度に収集したデータの整理・分析を着実に進めるとともに、本研究課題の成果を盛り込んだ論文を刊行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度得られた本研究課題の理論的な分析見通しを踏まえて、早期にカメルーンに渡航して補足調査を行う。年度後半では、これまでに収集したデータの整理・分析を行い、論文執筆および学会発表を行って研究成果の発信に努めたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に、以下の用途に研究費を充てる予定である。 (1)補足データ収集のためのカメルーンへの海外調査費用 (2)国際学術雑誌への投稿論文の英文校閲費用 (3)既に発表が受理されている国際学会への旅費・参加費用 (4)海外調査用の物品購入費用 (5)海外調査に係る謝金費用
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