モンゴルをはじめとするポスト社会主義諸地域において、ローカルな自然・社会に根ざしたモノの生産・流通・消費のあり方とそのグローバルな変化を、国家の影響・社会変化・人びとの移動に注目して検討し、以下の2点が明らかになった。 〈1〉 移動式住居「ゲル」・フェルト・銀製品・食べ物は、製作技術・ローカルな社会関係・国家の政策の3つが絡むことで20世紀を通して変化してきた。 〈2〉モンゴル国では20世紀以降に都市化が進んできたが、人びとのライフコースは草原と都市を往還するものであった。ゲルは、空間移動のほか、時間とともにサイズを拡大・縮小できる柔軟性を特徴とし、人びとの移動性と定住地での居住性を支えていた。
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