国境域における民族景観の変容に関する調査を行うため、中国雲南省においてフィールド調査を行った。また、これまでの研究成果を発表するために、国際学会、国内学会において研究報告を行った。加えて、他地域との比較をするために、研究協力者に他地域における研究を行ってもらった。その詳細は以下のとおりである。 5月18日から5月16日に、中国ビルマ国境地域にあるカチン族難民キャンプにおいてフィールド調査を行った。中国ビルマの国境域は異なる複数の景観を有している。平成23年度、平成24年度は、国境域における人口流動に着目し、ビルマ華僑の中国への再移住や、ビルマ人の中国への違法・合法定住、さらに国境域における商業の交流などについて調査を行った。平成25年度は、国境域において人口流動が困難なケースとして、ビルマ国境域に難民として集合し中国領へ移住ができないカチン族難民のキャンプを調査した。国境が透過性をもつ場合と、全く透過性を発揮できないケースとを理解することができた。また、雲南省での調査の際には、雲南大学の民族学研究所等において、国境域調査について意見交換を行った。 8月6日から8月15日にマンチェスター大学の世界民族学・人類学会議において、研究発表を行った。とくにビルマ華僑ムスリムの移住に関して報告を行うと同時に、意見交換を行った。また、10月25日から10月29日にかけては、福岡大学で開催された現代中国学会において研究発表を行った。 さらに、1月12日から1月28日には、大阪大学人間科学研究科のカルビン・デ・ロス・レイエス非常勤講師をフィリピンに派遣し、フィリピン・パラワンのタグバヌア社会において、海域の国境域におけるエスニック・マイノリティの保健衛生について調査を行ってもらった。
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