本研究では、サモアおよびオーストラリアでの現地調査と資料収集を実施し、オセアニア島嶼地域における聴覚障害者と軸とした障害者福祉の実態と課題の検討を行った。その結果、NGOが重要な位置を占める同地域の障害者福祉においては、国際援助が重要な基盤となっており、援助の枠組みに対応して「障害」概念が設定され、NGOや住民はそのような概念や資源を便宜的あるいは実用的に利用しながら「障害」圏ともいえるネットワークを構築していることが明らかとなった。これを踏まえ、援助の枠組みをより包括的かつ柔軟にすることで、このようなネットワークをより広く有効に活用してゆく方向性を提示した。
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