本研究は、病気の経験などを詩の朗読などのパフォーマンスで表現するという実践から、いかにして「生きづらさ」を通して当事者はネットワークを構築するのかを明らかにするものである。分析の結果、当事者は「生きづらさ」を通して、共通性による共感と共に、福祉からエンターテインメントといったように実践の軸をずらすこと、差異をむしろ資源として用いることによって当事者間のネットワークを形成していたこと、対立や協力、依存といったつながり方と共に、当事者性を広く付与する、サブカルチャーとして代替的な言説を生産し続けることによって社会やそこにある規範に働きかける形でネットワークを形成していたことが明らかにされた。
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