研究課題/領域番号 |
23720435
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研究機関 | 立命館アジア太平洋大学 |
研究代表者 |
立山 博邦 立命館アジア太平洋大学, 教育開発・学修支援センター, 助教 (00550394)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ツバル / バイツプ島 / パプアニューギニア / カーテレット諸島 / 環礁 / 地球温暖化 / 海面上昇 / リーダーシップ |
研究概要 |
本研究は、ツバルのバイツプ島とパプアニューギニアのカーテレット諸島という2つの環礁において、人々が地球温暖化の言説及び実際の影響をどのように認識し、それらに対してどのように行動しているかを、政治リーダーの役割を中心に比較対照しながら記述・分析することを目的としている。 初年度である今年度は、ツバルでの1回目の現地調査を平成24年2月下旬から3月上旬にかけて実施した。今回は首都フナフチでアーカイブ調査とフィールド調査をおこなった。本来であれば、フィールド調査はバイツプ(フナフチから約120kmの離島)でおこなうべきだが、まばらな船舶運航(月に1回程度)によりスケジュール調整が難しかったため、今回はフナフチに留まってバイツプ出身者を対象にインタビュー等をおこなった。 アーカイブ調査では、国立図書館・公文書館において植民地時代の公文書を中心に閲覧し、政治リーダーに関する記述を通時的に追った。今回は、時間の都合上、全体の半分ほどしか閲覧することができなかったが、ここで収集している資料は、後に今日の地球温暖化問題への対応におけるローカルレベルでのリーダーシップを歴史的に分析する際の重要な材料になってくると思われる。 フィールド調査では、地球温暖化の言説及び実際の影響にまつわる人々の認識や行動についてよりも、後にこれらの認識・行動を解釈する際に必要となるツバル、特にバイツプの文化、社会、歴史についての情報を幅広く収集することに努めた。結果として、ローカルレベルでの政治プロセスにおいて島への帰属意識や島同士の競争意識が強く働いているという、既存の文献ではあまり触れられていない事実を発見し、本研究を進めていく上での新たな視点を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的(上述)を実現するために、3年にわたってツバルとパプアニューギニアにおいてそれぞれ2回ずつ現地調査を実施する計画である。初年度である今年度は、ツバルでの1回目の現地調査を実施し、首都フナフチでアーカイブ調査とフィールド調査をおこなった。アーカイブ調査では、国立図書館・公文書館が時間通りに開館されない、閲覧したい公文書を探し出すのに時間がかかるなど、発展途上国特有の問題もあって調査が半分ほどしか完了できなかったが、これはある程度想定していたことである。フィールド調査では、現地の船舶事情によりバイツプへは行くことができなかったが、首都フナフチでバイツプ出身者を対象にインタビューすることで、計画通りツバル、特にバイツプの文化、社会、歴史についての情報を幅広く収集することができた。全体として、今回のツバルでの現地調査は2回目につながるようなものだったと言える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(平成24年度)は、当初の計画通り、ツバルでの2回目の現地調査とパプアニューギニアでの1回目の現地調査を実施する。ツバルでの2回目の現地調査は平成24年8月半ばから9月半ばにかけて実施することにしており、前回同様、アーカイブ調査とフィールド調査をおこなう。アーカイブ調査では、引き続き国立図書館・公文書館において植民地時代の公文書を中心に閲覧し、政治リーダーに関する記述を通時的に追う。フィールド調査はバイツプで2週間にわたって実施することにしており、地球温暖化の言説及び実際の影響にまつわる人々の認識や行動についての情報を中心に収集すべくインタビューをおこなう。このフィールド調査が確実に遂行できるように、既にフナフチ・バイツプ間往復の船舶のアレンジは済ませてある。 一方、パプアニューギニアでの1回目の現地調査は平成25年2月半ばから3月半ばにかけて実施することにしており、ツバルでの現地調査同様、アーカイブ調査とフィールド調査をおこなう。アーカイブ調査は首都ポートモレスビーにある国立図書館・公文書館でおこない、フィールド調査はカーテレット諸島でおこなう。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度(平成24年度)への繰越研究費が生じた主な理由は、当初の計画とは異なり、今年度に衛星携帯電話端末を購入しなかったからである。しかし、この備品は次年度以降に実施するパプアニューギニアのカーテレット諸島でのフィールド調査の際に必要となることから、必ずしも今年度に購入する必要はなかった。したがって、次年度に購入することとする。
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