本研究の目的は、公共性概念を基礎として国際社会における「行政」を構造的に分析し、一般理論を構築することであった。さまざまな国際関心事項を共有し、組織化の度合いを深めている現代国際社会においては、国際公共事務を運営し管理する営み(地球的統治)としての行政の概念を核として、国家や国際組織などによる国際的な活動を理論的に分析することが必要とされている。本研究では、平等概念には包摂・還元されない財の供給の問題として公共性の概念を捉え直し、財の公共的な供給・分配の構造を総合的に分析することにより、国際社会における公共財供給に関わる活動を行政概念に基づいて統一的に把握し、その構造が明らかとされた。
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