立法部のみならず司法部も法形成権能を持ち、さらに連邦と州との対抗関係という米国の法形成回路の重層性・複数制は、関係アクターに対してフォーラムを切り替えつつ自らの欲する法を求める可能性を与えている。しかしこれにより、とりわけ州レベルにおける法システムの自律性の弱さも浮き彫りとなる。伝統的に州法であった不法行為法は断片的ながらも連邦化・憲法化されつつある。産業界に裁量の余地を与える法動向は契約法や民事司法一般にも見られ、裁判所自体が民事司法の扉を閉じつつあり、このことは不法行為法における動きが孤立したものではないことを示す。実証的法学研究の法実務への影響は限定されている。
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