本研究では、日本の最高裁判所とアメリカ連邦最高裁判所による違憲審査制の運用を経験的に分析した。分析にあたっては、「変化」に着目した動態的な分析を心がけるとともに、裁判所と政治部門との関係に注意を払った。その結果、アメリカ連邦最高裁判所の違憲審査活動を理解する上では「司法積極主義の政治的構築」の視角が不可欠であること、日米両最高裁判所にみられる違憲審査制の運用の変化(日本の最高裁判所の近時の積極化、アメリカ連邦最高裁判所の20世紀中期以降の積極化等)や、両裁判所の対照的な制度運用の背景には、裁判所の保有資源量と裁判所内の価値観の構成が主要な要因として機能していたことなどを具体的に明らかにした。
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