平成25年度は、過年度の調査で得られた資料の追跡調査のため、および前年度 までの調査の不足を補うための現地調査を行い、そのうえで中国において研究成果をとりまとめ発表する研究会あるいはミニシンポジウムを開催する計画であった。 文献等を用いた調査については、主な調査地である重慶市に関しては海外研究協力者との緊密な連携により主な資料を収集することができ、農地制度に関して積極的に発言をしている研究者との交流ももつことができた。他方で、中国での研究発表については当時の情勢から受け入れ側研究者に与える影響や受け入れ・参加の協力を得ることの難しさを考慮して延期とせざるを得なかった。 そこで、日本国内の中国法・法社会学その他の研究会で研究成果を段階的に発表したうえで、日本国内の公刊物や学会報告によって研究成果の一部を公表する方法を採ることとした。この準備段階においては、これまでの調査において構築した人的関係を活用し、協力を得ながら中国の現地情報をできるだけ取り込めるよう留意した。 その結果、中国研究所編『中国年鑑2013』『中国年鑑2014』(毎日新聞社)の「治安・犯罪」の中で最近の農地制度をめぐる社会問題の一端を示すことができた。また、日本現代中国学会第63 回全国学術大会において「中国土地所有権制度改革の下で顕在化する農地問題解決方策の法的分析」と題する学会報告を行い、経済学や社会学などの分野の中国研究者から貴重な意見を得ることができた。
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