大法官府裁判所におけるエクイティに基づく救済の中身を明らかにするために、大法官府裁判所に救済を求める際に用いられていた罰金付召喚令状に着目し、各種資料の検討を通じてその詳細、意義および役割を明らかにした。詳細は以下のとおりである。1)大法官府裁判所における罰金付召喚令状の概観を明らかにするために、罰金付召喚令状に関係する各種資料を収集したうえでその検討を行った。2)16世紀前半に、大法官府裁判所におけるエクイティの概念を明らかにしたセント・ジャーマンの著作A Little Treaties concerning Writs of Subpoenaおよび匿名の上級法廷人によるThe Replication of a Serjeant at the Laws of Englandを検討することにより、当時の罰金付召喚令状がもつ特徴およびその役割を明らかにした。3)罰金付召喚令状による救済を行っていた大法官府裁判所の法的救済根拠であるエクイティ概念の多様性について、Doctor and Studentを中心とした資料を用いて明確にした。そのうえで、セント・ジャーマンの行ったエクイティ概念に関する操作が後の法システムや法学に与えた影響について検討を行った。4)英国エクイティの中でもっとも発展を遂げた信託の歴史的発展経緯を明らかにした論文の翻訳を通じて、エクイティが果たした役割やその意義を再検討した。
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