本研究の目的は,近時の最高裁判例における処分性の拡大傾向が,行政法学の理論体系にいかなる影響をもたらしているかを検討をすることであった。これに従い,紛争の成熟性・行為形式論・違法性の承継の各論点について順次検討を加え,比較法研究の成果をも踏まえて,結論を得ることができた。それは,行政処分による法律関係の実体法的規律のあり方に応じて,それを争う訴訟形態が定まるというものであって,本研究においては特許法に即してこれを実証し,行政処分の法的効果の逆作用としての取消判決の形成力とその手続法的な通用力との区別を主張するとともに,処分性概念を争訟法上のものに純化させる方途を探った。
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