本研究課題の第1の成果は,これまで多くの租税立法政策論が合理的個人を想定して議論をしてきたところ,人間の限定合理性に着目をする行動経済学の議論を参照することで,個人の限定合理性を租税法政策論に体系的に組み込める可能性についての発展的知見が得られたことである。第2の成果は,国家財政破綻を回避するために,法的義務として国庫が負担する「明示的債務」のみならず,法的義務ではないものの国庫負担が求められる「非明示的債務」の法的統制が重要との知見を得て,租税・財政政策及び他の法制度の最適な組み合わせを見直す契機を得ることができたことである。
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