本研究課題の全体構想は、憲法上の結社の自由の観点から非営利団体法制を再構成し、わが国において「結社法」又は「非営利団体法」という新たな法領域を開拓することにあるが、平成25年度は、残された論点と最終年度のまとめの2つの面で研究を進めた。 第1に、団体に対する公的規制をとりわけ解散制度に着目して検討した。フランスでは団体が自律的に行う任意解散のほか、司法解散や行政解散といった公権力による強制的解散制度が認められてきたことを確認し、そこでの要件論・効果論の検討を踏まえて、日本の代表的な団体規制法である破壊活動防止法の定める解散指定制度を批判的分析する作業を行った。その結果、同法の解散指定制度では、過去の犯罪行為だけでなく、将来の犯罪行為の危険までが解散の要件とされており、実は、厳格な解散制度であることが確認された。この研究の成果は、下記の著書の一部で示したほか、「フランス団体解散制度と結社の自由」、「フランス団体解散制度の現況と課題」と題する報告によって発表した。 第2に、最終年度のまとめとして、これまでの日仏の非営利団体法研究を集大成し、それらの体系化を行った。その成果は、井上武史『結社の自由の法理』(信山社、2014年、408頁)として刊行された。
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