研究課題/領域番号 |
23730027
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
中川 律 宮崎大学, 教育文化学部, 講師 (60536928)
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キーワード | 公法学 / 比較憲法 / アメリカ憲法 / 公教育 / 教育法 |
研究概要 |
2012(平成24)年度には、本研究の第1の柱であるアメリカ合衆国の公教育に関する連邦最高裁の憲法法理に対して、公教育制度の確立の歴史的展開過程がどのような影響を与えたのかについての資料収集および学会・研究会への参加による情報収集・意見交換に基づき、それらの資料の分析を行った。 その分析により、アメリカ合衆国における公教育制度の発達の過程においては、憲法が前提する自由や民主主義の観念に関して異なる考え方を有する諸勢力が衝突と妥協を繰り返してきたこと、その意味で19世紀に末から20世紀初頭にかけて定着した制度の在り方も決して特定の勢力の支配的な影響力の下にのみあるとは単純に言い切れないこと、そして、ある種妥協的な1920年代の公教育に関する憲法法理も、これらの公教育制度の歴史的展開過程の中で特定の支配的勢力が公教育を簒奪することを押しとどめる機能を果たしたものであるといいうること,がおおよそ明らかになった。 また、2012(平成24)年度中にも、第2の柱である1920年代以降の公教育に関する憲法法理の憲法史上の位置づけ関する資料の収集に努めた。1920年代以降の公教育に関する制度史、思想史、運動史などに関する資料、および同時期の憲法法理に関わる裁判例、憲法史に関する学術論文、当時の教科書などの資料を収集した。本研究の第2の柱に関する資料として必要なものはまだ十分とは言えないので、本年度も引き続いて収集に努める予定である。その他、関連の学会・研究会に広く参加し、本研究に関わるさまざまな情報、意見などを見聞きできたことが有益であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記研究実績の概要に示したとおり、当初の研究計画どおり、2011(平成23)年度の実績に基づき、本研究の第1の柱であるアメリカ合衆国の1920年代までの公教育に関する憲法法理と公教育史の関係についての資料の分析を進めることができている。2013(平成25)年度以降には第1の柱に関する論文執筆に取り掛かることができるものと思われる。 また、第2の柱である1920年代以降の公教育に関する憲法法理の憲法史の側面からの研究に関しても、資料収集が進捗しており、2013(平成25)年度以降には資料の分析に入ることができると思われる。 以上により、当初の研究計画どおり、本研究はおおむね順調に進展しているものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2013(平成25)年度には、2012(平成23)年度までの実績に基づき、本研究の第1の柱であるアメリカ合衆国の1920年代までの公教育に関する憲法法理と公教育史についての論文の執筆に取り掛かる。第1の柱の研究に関しては、追加の資料収集も行いつつ、2013(平成25年度)中に論文を執筆し、研究成果を発表するように努める。研究論文の執筆が2013(平成25)年度中に終了しない場合にも、次年度には発表できるように準備を整えておく。 また、2013(平成25年度)には、本研究の第2の柱である1920年代以降の公教育に関する憲法法理の憲法史の側面からの研究に関しても、資料の収集の本格的な分析に取り掛かる。平成25年度には、第2の柱の研究に関する論文執筆に取り掛かることができるように努める。また、追加の資料収集も行っていく。 その他、本研究に関連する学会・研究会等に積極的に参加し、情報収集、他の研究者との意見交換などを行う。 資料取集に関しては、所属大学や県内の大学では資料が十分でないため、年に数回、首都圏の大学に資料収集のための出張を行うことで対応する。
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次年度の研究費の使用計画 |
2013(平成25)年度に関しては、主に以下のように研究費の使用を計画している。 ①本研究の第1の柱と第2の柱に関する資料としての図書、論文などの物品の購入。 ②本研究の第1の柱と第2の柱に関する資料収集のための国内出張のための旅費。 ③本研究に関連する学会、研究会、研究打ち合わせなどのための国内出張のための旅費。 その他、文具などの消耗品の購入費、および研究協力者への資料収集に関する謝礼などにも研究費を使用する可能性がある。また、2012(平成24)年度に申請した研究費のうち、およそ8万5千円ほどを本年度に繰り越しているが、これは主に昨年度に購入予定の図書の入荷が遅れたためであり、本年度に使用予定の図書費と合わせて使用する予定である。
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