本研究の主な成果は、第一に、アメリカ合衆国において、公教育に関する政府権限の限界を画した1920年代の連邦最高裁判決の憲法法理は、公教育制度の歴史的形成過程において、合衆国憲法に示された自由や民主主義という価値観に関して異なる考え方をもつ諸勢力が妥協を繰り返し、どんな特定勢力も学校教育制度全体を簒奪することに成功しなかったことを反映していること、第二に、1940年代における公教育に関する憲法法理の展開は、ニューディール憲法革命を経たにもかかわらず、1920年代の政府権限の内在的限界論を引き継ぐ面を有することを明らかにした点にある。
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