本研究は、裁判所「以外」の政治部門の憲法解釈の現状把握とそのあり方について、比較憲法的な見地から検討を行うものである。本研究により、 (1)アメリカ大統領の憲法解釈の表明方法として、法案に署名する際に声明を出すという「署名声明(signing statements)」の近年の利用例とその含意、 (2)アメリカにおける執行府の憲法解釈補佐機関である司法省法律顧問局(Office of Legal Counsel)の憲法解釈の実態把握とそのあり方、 (3)日本における執行府の憲法解釈補佐機関である内閣法制局の憲法解釈のあり方、 (4)国会論議や答弁書で示された日本の政府の憲法解釈の論理構造、を明らかにした。 また並行して、比較の見地から政治部門のみならず、裁判所の憲法解釈についての研究を行い、 (5)近年の憲法判例の動向の総合的調査、 (6)違憲審査基準の使われ方についての研究も行った。
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