家族、親子とは何か。身分法制度の基礎とされるそれらの概念について、憲法は特に定義規定をおいていない。ただ、「個人の尊厳と両性の本質的平等」という基本的人権の基底的原理に基づいて家族や親子関係を法律で定めるよう要請するのみである。 そこで、21世紀に入って特に取り上げられた親子関係の法的問題を検討すると、「家族や親子に関する意識」の変化が強調され、「個人の尊重」を基礎にする社会へと変化している点が指摘される。そこには、比較法的な視点も取り入れられ、国際社会の変化の下で、家族や親子も、結局は尊厳を有する個人の集合体であって、個々人のあるがままの行き方を尊重することが必要との見解が導かれる。
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