【最終年度(平成25年度)に実施した研究の成果】 ①本研究課題に関する最新の情報および国際的な議論の動向を把握するために、国内外で開催されているシンポジウムやセミナー等に積極的に参加した。特に、平成25(2013)年6月にジュネーブで開催された国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)主催の無国籍に関する研究合宿、およびUNHCRと難民・無国籍者支援NGOとの年次協議会に参加できたことに加えて、日本からの問題提起を行った上、意見交換・ネットワークの構築を行うことができた。②平成26(2014)年3月に、日本のNGO職員や弁護士らと共に、フィリピンにおける難民・無国籍認定制度に関する現地調査を行った。アジアで初めて無国籍者の地位に関する条約を批准したフィリピンにおける、理想とも言える無国籍者保護システムがあることを知り、本研究課題に対する解決方法を考える上で多いに参考になった。③日本にいる難民2世、特に日本で生まれた者の国籍について、NPO無国籍ネットワークと恊働してパイロット調査を開始した。④本研究課題の研究成果の一部を研究会やシンポジウムで報告し、論文を公表することができた。また、研究成果を含むテキスト(共著図書)の一部を執筆し、その刊行も決定されている。本研究期間終了後も、本研究課題の成果を積極的にシンポジウムや国際会議で発表することを通して、社会に還元することを予定している(11. 研究発表を参照)。 【研究期間全体を通じて実施した研究の成果】 3年間に亘る研究期間において、当初予定していた「非正期滞在の無国籍者」に主眼を置きつつも、その枠組みを超えて、特に世帯を超えて無国籍が受け継がれる問題の見えにくさ、深刻さを考察し指摘した成果は大きいと考える。今後も、本研究課題の成果を踏まえて、引き続き無国籍の発生防止および無国籍者の権利保障に向けた研究を進める予定である。
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