3年間に亘る研究を通して、日本には政府統計に表れていない無国籍者が潜在的に多くいる現状とその問題点を明らかにしてきた。特に、「非正規滞在」でかつ「無国籍」という法的地位が、親から子へと世代を超えて受け継がれる問題の見えにくさ、深刻さを指摘した成果は大きいと考える。また、研究開始当初では、比較法の対象として、無国籍認定制度をもつヨーロッパ諸国に注目していたが、近年、アジアにおいても先進的な取組みがなされるようになったため、タイとフィリピンで現地調査を実施した。その結果、多いなる示唆を受けた同時に、人の移動と無国籍との関連性、およびアジア諸国の法制度とその運用を研究する必要性があると認識した。
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