2009年に制定されたオーストラリアの動産担保法(PPSA2009)では、米国の統一商事法典(UCC)と同様に、物品のような有体物に対する担保権についても、債務者の所在地法を準拠法としうることが定められた。これは、債務者所在地法による規律に、一定のメリットを認めるからである。他方で、債務者所在地法によることにはデメリットもある。それゆえ、債務者所在地法によるか、伝統的な目的物の所在地法によるかは、当事者の選択に任されている。しかしながら、当事者に準拠法を選択させることで、解決しがたい問題が生じる。従って、日本において同様の規則を採用することは難しいだろう。
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