本研究は、国際社会で最近顕著となっている海洋の管理強化の動きが、海洋の自由にどのような影響を及ぼすのかについて、排他的経済水域(EEZ)における管理作用を中心に国際法の観点から検討した。多くの国家の実行において海洋の管理は国連海洋法条約が認めている権利の行使を通じて実現されるか、少なくとも条約を根拠とする正当化が主張されていることが明らかになった。しかし、条約はEEZで沿岸国に海洋利用間の空間的な調整権能は与えておらず、そのような意味での海洋管理は現行の海洋法秩序とは異質な要素も含んでいる。海洋法秩序の変化をもたらしうるものとして、今後の展開も国連海洋法条約を基準として精査する必要である。
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