本研究は、再建型倒産手続において労働者の取扱いが極めて重要な位置づけを占めるにもかかわらず、これまで再建型倒産手続の特殊性に着目した労働法研究が十分になされていない現状に鑑み、比較法的考察の手法を用いながら、再建型倒産手続における労働者の取扱いを分析するものである。 本研究最終年である平成25年度には、前年度までの2年間に獲得された日本法及び外国法にかかる研究成果を元に、本研究課題にかかる研究成果の取りまとめ作業を行った。まず、再建型倒産手続における労働法規範の構造に関し、比較法的手法を交えつつ、日本法の状況を分析するとともに、本研究課題を通して残された課題の析出を行った。ここでは、とりわけ倒産手続下での労働力調整という観点から検討を行い、解雇や労働条件変更にかかる課題につき、解釈論としての課題と立法論としての課題を峻別しつつ検討するよう留意した。加えて、平成25年度には、本研究課題にかかる研究成果を広く社会に還元する作業として、講演会における報告も行った。 このほか、平成25年度には、再建型倒産手続における労働法規範の構造を分析するには不可欠であるにもかかわらず、前年度までの2年間に実施し得なかった周辺的な課題にかかる研究に対しても意欲的に取り組んだ。その結果、研究成果の一環として、倒産手続下における労働者代表の手続的関与に関する基礎的な考察結果も提供することができた。また、このような平成25年度における研究成果に関する取りまとめ作業を通じて、本研究課題に関連してなお考察が不十分あるいは深く立ち入った考察が必要となる課題も析出されることになったため、次年度以降の研究にかかる課題設定に向けた準備的な研究としての意味合いも持たせることができた。
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