研究課題/領域番号 |
23730056
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
池田 千鶴 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (40346276)
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キーワード | イノベーション / 企業結合 / 証拠・立証方法 |
研究概要 |
本研究は、平成23年度~平成26年度の4年間で、イノベーションや研究開発が特に重要な市場における適切な競争政策・競争法の適用・執行のあり方を考えるため、企業結合規制に着目して研究するものである。具体的には、イノベーション競争や研究開発競争に対する考慮が競争法上の評価・分析の対象となる全ての段階(市場の画定、反競争効果の分析、競争促進効果の分析、競争回復措置(問題解消措置)の設計の各段階)について、米国、EU、および、我が国における企業結合規制における分析事例を素材にして、行政機関における合併審査の諸問題のみならず、裁判所における司法審査に耐えうる証拠・立証のあり方も含めて、多角的、総合的に比較法研究する。これにより、4年間の研究期間内に、イノベーション競争や研究開発競争に対する考慮が競争法上の評価・分析の対象となる企業結合についての違法性判断基準、審査分析の手法、証拠・立証方法、問題解消措置の設計のあり方を明らかにする。 本年度は、イノベーション競争や研究開発競争の減少が問題となった米国・EUの分析事例の収集・分析と、米国・EUの競争当局関係者のスピーチや論文等から伺える問題意識の分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外競争当局(米国司法省、連邦取引委員会、欧州委員会)のWebサイトには、当該企業結合案件の検討結果や報道発表資料が掲載されており、イノベーション競争の減少が反競争効果として問題となったケースの収集はウェブを通じて可能である。また、年次報告書や競争当局関係者によるスピーチ原稿もウェブを通じて収集可能である。近時、競争当局者のスピーチでイノベーション競争について言及することが頻繁にみられるところである。このため、米国・EUにおける競争当局関係者がどのケースについてどのような問題関心を持って重点的に検討したのかについて、模索的な海外調査を行わなくとも、日本に居ながらにして、研究を進めることが可能となっている。このように日本から収集できる資料を把握した上で、効率よくポイントを押さえて海外調査を行うことが可能になっている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度までに米国、EUにおけるイノベーション競争の減少が問題となった企業結合規制の事例について収集することができたので、次年度以降では、これらの事例を分析して、イノベーション競争が重要な市場における企業結合規制のあり方について考察を進め、可能な限り、研究会での報告や論文の執筆等で研究成果を少しずつ公表していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
公務の都合のため、海外調査を実施できなかった分の研究費について、次年度の研究計画に繰り越している。平成25年度分として請求した助成金と合わせて、海外調査を含む旅費や、関連図書等の購入にあてる物品費、情報提供者に対する謝金等として使用する計画である。
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