研究課題/領域番号 |
23730058
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
VAN・UYTSEL S 九州大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (30432842)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | リニエンシー・プログラム / 独占禁止法 / 公的執行機関 / 民間当事者 |
研究概要 |
本研究「競争法、公的執行機関、及び民間当事者‐より実効的な相互関係を目指して」 は、以下の二つの作業を軸として進められた。第一に、 研究の主たる部分としては、日本におけるリニエンシー・プログラム(課徴金減免制度)に焦点があてられた。リニエンシー・プログラムに関するデータが公正取引員会と照合され、さらに、EUの資料を用いた比較研究もなされた。日本およびEUの実施機関に対するインタビューから、リニエンシー・プログラムの実際の機能に関する知見が得られた。さらに、国内外における様々な報告により、リニエンシー・プログラムの働きに関して説明することができた。これらの報告からは、フィードバックとしてリニエンシー・プログラムにかかわる利害関係者の行為についてのより深い見解を得ることができた。これらの情報は、すべて研究計画の二年目に行う質問票のより適切な作成を可能にするものである。第二に、より一般的に、競争法の執行における私的当事者の地位を分析するために研究計画は拡大された。様々な私的当事者が被った損害に関しどの範囲で賠償を得ることができるのかに関して、詳細な分析が行われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画は当初の計画通りに進行している。文献調査と報告とを基礎に、研究一年目における計画は、リニエンシー・プログラムにおける利害関係者の行為について分析することであった。実施された報告とインタビューとによって、リニエンシーの適用がなされた場合にカルテル参加者、実施機関、法律家がいかに行動するかについての一定の実像を得ることができた。さらに、私的当事者一般に対して研究が拡大された。いかなる私的当事者であれ、競争法違反に対する賠償を得ることができるのはどの範囲かという事が検討された。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画は以下の二つのラインに沿って行われる。第一に、リニエンシー・プログラムに関するよりよい理解を得るために、カルテル参加者と法律家達に質問票を送付する。これらの質問票のフィードバックの後、必要であれば実施機関とのインタビューが行われる。以上の様に、この研究は経験的な手法による研究に焦点をあてるものである。この研究の結果は様々なカンファレンスにおいて報告される予定である。第二に、競争法事例における私的当事者の地位に関して更なる注意が払われる。すべての私的当事者が司法機関に訴えることができるのかどうかについて、さらなる調査が行われる。
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次年度の研究費の使用計画 |
今後の研究費の使用は以下の様に予定されている。第一に、関係分野に関する最新の知見を獲得するために書籍の購入にあてられる。特に、競争法における利害関係者の行動を描こうと努めるものでもある、法の行動経済学的分析と競争法にかかわる研究書籍に注目している。第二に、予算の大部分は、質問票の作成、同質問票を用いた調査の実行、調査結果の分析にあてられる。第三に、日本国内外のカンファレンスやワークショップにおいて研究結果を報告する。また、質問票を用いた調査に対する反応を調べるためのインタビューも行う。よって、研究費はこれらのための旅費としても使用される。
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